マリーゴールドの現実

「幻惑」から「現実」へ

ウィルス感染と「豊饒の海」

 ウィルスに感染して、ここに書けずにいた頃、そのほかにも色々あって、知人にはもうここでは書けないかもしれないと言っていたが、ウィルスも除去してもらい、対策もしていただき、以前のパスワードも思い出し、無事ログインできて、色々あってまたここに書くことができるようになった。今まで書いてきたようなことを、よく知人に知らせるよなと、お思いになる方も多かろうと思う。私はリアルでは何も起きない者であるし、心の中一つのことばかりなので、まあ恥ずかしい内容ながら、お知らせしたのだった。狂人の戯言と言ってしまえばそれまでだが。しかしながら私はその狂気をよくわかっている。それが私の矜持である。もちろん事実であるが、それが妄想に縁取られているのである。はじめの頃の「男を変えた」云々は、まさに心の中一つのことであって、リアルでは何事も起きてはいない。私は狂人ゆえ、この世界を渡ってゆく上で、注意しつつ心の中では変幻していたのである。

 私の文章には都会的なスマートさはないだろう。まさに田舎者を地でゆく書きっぷりだろう。0.36秒ごとに180万回の検索数のトップに来ているという数字は、何を表しているのだろうか。もっと多いブロガーは多くいらっしゃるだろうが、私の数字も決して低いものではなさそうである。私の方からお聞きしたいものである。なぜお読みになるのですかと。私と同音異字の名前の友人が、時々ここを読むようである。彼女は流石にびっくりしているようだった。しかし彼女はリアルの私をも知っているので、関係を断ちはしない。何か自分のことも出てきているようだがと、苦笑していたようだったが。もう大概のことは忘れている。10月に書いた前の記事も忘れていた。これを書く前に読んでみて、そうだったかと思い出し、つくづく始めどうでもいいようなことをだらだら書いて、最後の方でやっとなんとか形をつけているなと、ここでも出たとこ勝負の私はそう思う。

 実は3月に入ったら、少々忙しくなる。教会では黙想会があるし、同人誌の方では編集作業が始まる。それで今のうちに書いておこうと思い立った。今は三島由紀夫の「豊饒の海」第4巻「天人五衰」を読んでいるところで、まだ最後まで読んでしまっていない。あと50ページぐらい残っているのだが、私の遅い読み方では時間がかかる。「逆転する輪廻の本質ーー」と書かれても、仏典によるところの輪廻を理解していないので、予測がつかない。透が死ぬのか本多が死ぬのか、無論あと50ページの中でわかってくることだ。だからこのことを書くのは時期尚早である。久々に面白い小説を読んでいる。同じ三島のでも「花ざかりの森」「憂国」は感心しないが、「豊饒の海」に関しては脱帽である。これがどんな最後であろうが、面白いことはわかっている。第1巻「春の雪」、第2巻「奔馬」、第3巻「暁の寺」は確かに面白かった。しかし思い返すと都合よく人が死に、物事がなってゆく。

 今の段階でいろいろ書くのはやめておこう。「豊饒の海」を読むことはないのだろうなと、ふとしたことから「春の雪」を読むことになるまで、思っていた。第一、題名が気にくわない。この題名だったら私の場合、普通読む手がかりにはならないだろうと思われる。人がその本を手に取るには、きっかけが必要だ。私の場合それはSNSで訪れた。去年だったか一昨年だったか「夏子の冒険」を帯に「修道院」の文字が躍っていたので買ってみた。するとこれを翻案したものが村上春樹氏の「羊をめぐる冒険」だと、また彼の「ノルウェイの森」が三島の「花ざかりの森」を翻案したものであり、「花ざかりの森」の原型は「春の雪」だということを教わったのである。それで遡る形で読んでみることになったのである。それが「豊饒の海」を読み始めるきっかけである。「春の雪」を読んだら「奔馬」を、「奔馬」を読んだら「暁の寺」を、「暁の寺」を読んだら「天人五衰」を読んでみたくなる。内容が面白いからである。「豊饒の海」というタイトルだけを眺めていたら、機会は訪れなかっただろう。

 現今の流行り言葉や、名付けは三島の作にはよく出てくるような気がする。それにどんなに難しい言葉でも、三島の作中にある言葉は辞書に載っている。これというのはすごいことではないだろうか。三島の語彙は豊富で漢語も西欧語も多い。「豊饒の海」について踏み込んだことが言えないのは残念だが、読んでしまったとしても何も言えないかもしれない。きっとうちのめされているだろう。それにしても読む端から忘れてゆく。私にとって大事なところは覚えているつもりだが、それが大局だろうと細部だろうと、自分にとって大事なところは覚えている。しかし大部分忘れている。今から郵便局などにゆかねばならないのである。ブログなど書いている場合ではないのだが、成り行き上書いてしまった。「豊饒の海」についてはブログでは何も触れないだろう。多分。